【令和8年度改正】年収の壁が178万円に!
令和8年度税制改正をわかりやすく解説

令和8年度税制改正解説 年収の壁

2026年4月 / パート・アルバイト・給与所得者向け

令和8年度の税制改正で、所得税がかかりはじめる「年収の壁」が178万円に引き上げされます。2段階の改正によって実現したこの変化は、パート・アルバイトで働く方だけでなく、年収665万円以下の給与所得者(全体の約8割)の手取りが増える大規模な減税です。令和8年分の確定申告・年末調整から適用されるため、今からポイントを押さえておきましょう。

① 令和8年度税制改正と年収の壁(所得税)の概要

「年収の壁」とは、パートやアルバイトの方が一定の年収を超えると税金がかかりはじめる金額のラインのことです。これを超えないように働く時間を抑える人が多く、「もっと働きたいのに働けない」という問題が起きていました。

今回の改正は、この「年収の壁」問題と、物価が上がっても控除額が変わらないために税負担が重くなる「物価高」問題の両方を同時に解決するために行われました。

〜令和6年分
103万円
基礎控除 48万円
給与所得控除(最低)55万円

令和7年分(R7改正)
160万円
基礎控除 最大95万円
給与所得控除(最低)65万円

令和8・9年分(R8改正)
178万円
基礎控除 最大104万円
給与所得控除(最低)74万円

2段階の改正による累計効果
年収の壁
103→178万円
扶養の所得要件
58→62万円
控除見直しサイクル
2年ごと

改正の2本柱:今回の改正は「物価スライド制(恒久制度)の創設」と「三党合意に基づく中低所得者への特例上乗せ(時限措置)」の2本立てになっています。

② 物価スライド税制とは

これまで所得税の控除額は長年固定されており、物価が上がると実質的な税負担がじわじわ重くなる問題がありました。ここ数年の物価高の中で「控除額も引き上げるべき」という声が高まっていました。

令和8年度改正で導入された物価スライド制は、「物価が上がったら、控除額も自動的に上げる」という仕組みです。消費者物価指数に連動して、基礎控除と給与所得控除の最低保障額を定期的に見直します。

1
2年間の物価上昇率を消費者物価指数で測定令和8・9年分は、令和5年11月〜令和7年10月の2年間の上昇率6.0%をもとに算定

2
物価上昇率を踏まえて控除額を引き上げ令和8・9年分は基礎控除(本則)を4万円、給与所得控除の最低保障額を4万円それぞれ引上げ

3
2年ごとに繰り返し見直し次回(令和10年度改正)では令和8・9年の物価指数をもとに算定

令和8・9年分
令和10年度改正で再算定
令和10・11年分
以降2年ごと継続


③ 基礎控除の見直し

基礎控除とは、所得のある人なら誰でも所得から一律に差し引ける金額です。この金額が大きいほど、税金がかからない範囲が広がります。

合計所得金額(給与収入の目安) 令和7年分 令和8・9年分
132万円以下
(約200万円以下)
95万円 104万円 +9万円
132万円超〜336万円以下
(〜約475万円)
88万円 104万円 +16万円
336万円超〜489万円以下
(〜約665万円)
68万円 104万円 +36万円
489万円超〜655万円以下
(〜約850万円)
63万円 67万円 +4万円
655万円超〜2,350万円以下 58万円 62万円 +4万円
2,350万円超〜2,400万円以下 48万円 48万円 変わらず
2,400万円超〜2,450万円以下 32万円 32万円 変わらず
2,450万円超〜2,500万円以下 16万円 16万円 変わらず
2,500万円超 0円 0円 変わらず

※令和7年分との差分を「+〇万円」で表示。令和8・9年分の特例上乗せは時限措置。合計所得金額2,350万円超は基礎控除が段階的に減り、2,500万円超でゼロになります。


④ 給与所得控除の見直し

給与所得控除とは、会社員・パート・アルバイトなど給与をもらっている方が使える控除です。スーツ代や交通費など仕事にかかる経費の代わりに、収入から一定額を差し引けます。

今回の改正で、収入が少ない方(190万円以下)に適用される最低保障額が大幅に引き上げられます。

給与収入金額 令和7年分 令和8・9年分
190万円以下
(最低保障額)
65万円 74万円 +9万円
(69万円+特例5万円)
190万円超〜220万円以下 収入×30%+8万円 74万円 最低保障額適用
220万円超〜360万円以下 収入×30%+8万円(変更なし)
360万円超〜660万円以下 収入×20%+44万円(変更なし)
660万円超〜850万円以下 収入×10%+110万円(変更なし)
850万円超 195万円(上限・変更なし)

⑤ 各種所得控除の所得要件の見直し

配偶者控除や扶養控除などを受けられるかどうかは、家族の「合計所得金額」で判定します。今回の改正でこの判定基準が58万円以下から62万円以下に引き上げられます。

給与収入のみの場合、扶養に入れる目安が年収123万円以下から136万円以下に広がります。

また、ひとり親控除の控除額が令和9年分以降35万円から38万円に引き上げられる予定です。

控除の種類 改正前の要件 令和8年分以後 給与収入の目安
配偶者控除 合計所得58万円以下 62万円以下 123万円→136万円以下
扶養控除 合計所得58万円以下 62万円以下 123万円→136万円以下
ひとり親控除 総所得58万円以下 62万円以下 123万円→136万円以下
勤労学生控除 合計所得85万円以下 89万円以下 150万円→163万円以下
実務上の注意:扶養判定の基準額が変わるため、令和8年の年末調整では扶養親族等申告書の記載内容を再確認する必要があります。また、扶養から外れると思っていた家族が引き続き扶養に入れるケースも出てきます。

⑥ まとめ

今回の令和8年度税制改正のポイントを振り返ります。

1
年収の壁が178万円に引き上げ令和7年改正(160万円)・令和8年改正(178万円)の2段階で、103万円から75万円分の拡大を実現。パート・アルバイトを含む給与所得者の約8割が恩恵を受けます。

2
物価スライド制が恒久制度として導入2年ごとに消費者物価指数をもとに控除額を見直す仕組みが生まれました。物価が上がっても実質的な税負担が重くならないよう設計されています。

3
扶養に入れる範囲が広がった配偶者控除・扶養控除などの所得要件が58万円以下から62万円以下に引き上げ。給与収入のみの場合、扶養の目安が年収123万円以下から136万円以下に拡大します。

今回の改正で今すぐ確認しておきたいことをまとめます。

  • 令和8年分の年末調整から新しい控除額が適用されることを確認する
  • 配偶者・扶養親族の年収が136万円前後の方は、扶養判定の見直しを行う
  • ひとり親控除の対象者は控除額引上げ(R9年分以後・38万円)を把握しておく
  • 令和10年分以降は物価指数により控除額が変わるため、引き続き税制改正情報をチェックする
  • 不安な点は担当の税理士に相談する
まとめ:今回の改正は、「働き控えをなくしたい」「物価高の中で国民の手取りを守りたい」という方針のもと実現した大規模な減税です。年収の壁が178万円まで引き上げられたことで、扶養の範囲内でより多く働きやすくなります。一方、扶養判定基準の変更など実務への影響もあるため、年末調整・源泉徴収の対応を早めに確認しておくことが大切です。