開業届の書き方を項目ごとにやさしく解説

開業届の書き方を項目ごとにやさしく解説

個人事業を始めたら、まず税務署に出すのが開業届(個人事業の開業・廃業等届出書)です。この記事では、実際の様式の該当箇所を示しながら、どの欄に何を書けばいいかを順番に解説します。記入する場所を一つずつ画像で確認できるので、見ながら進めれば10分ほどで完成できます。

開業届とは?提出のキホン

開業届の正式名称は「個人事業の開業・廃業等届出書」。個人事業主として継続的に事業を始めたことを税務署に知らせる書類です。屋号付きの事業用口座を作るとき補助金を申請するときに控えを求められることが多いので、出しておくのが基本です。

提出のキホン

📍提出先:納税地(原則は自宅住所)を管轄する税務署

📅期限:2026年1月1日以後の開業から「その年の確定申告期限(翌年3月15日)まで」に改正されました(以前は開業から1か月以内)。早めに出すのが安心

記入欄を順に解説

開業届は大きく「上半分=あなた自身の情報」「下半分=事業の情報」に分かれます。各欄の記入場所を画像で示しながら、上から順に見ていきましょう。

税務署名・提出日

開業届の税務署名・提出日の記入欄に赤枠を付けた図

用紙の左上に、提出先の税務署名と提出日を書きます。税務署名は納税地(自宅住所)を管轄する税務署です。どこが管轄になるかは、国税庁の「税務署の所在地などを知りたい方」のページで、郵便番号や住所から調べられます。提出日は、窓口持参ならその日、郵送ならポスト投函日、e-Taxでの提出なら送信する日を記入します。

納税地

開業届の納税地の記入欄(住所地などを選択)に赤枠を付けた図

「住所地・居所地・事業所等」から選びます。納税地は原則として「住所地」(自宅の住所)なので、基本はこれを選んでおけばOKです。チェックを入れたら、郵便番号・住所・電話番号を記入します。自宅とは別にオフィスや店舗を構えていて、そこを納税地にしたい場合は「事業所等」も選べます。税務署からのお知らせはここ宛に届きます。

氏名・生年月日・個人番号(マイナンバー)

開業届の氏名・生年月日・個人番号の記入欄に赤枠を付けた図

氏名(フリガナも)、生年月日、マイナンバーを記入します。押印は不要です。マイナンバーは提出用にのみ記入し、手元に残す控えには書かないようにしましょう。控えにマイナンバーが載っていると、保管に気を使うことになるためです。

職業・屋号

開業届の職業・屋号の記入欄に赤枠を付けた図

職業は「飲食業」「建設業」「Webデザイン業」など、内容がわかる名称でOK。決まった書式はありません。屋号は店名や事業名のことで、まだ決めていなければ空欄でも問題ありません。屋号付きの銀行口座を作りたい場合は、ここに書いた屋号が使えます。

届出の区分

開業届の届出の区分(開業に丸)に赤枠を付けた図

新規開業なので「開業」にチェックします。事業を引き継いだ場合は、引き継ぎ元の住所・氏名も記入します。

所得の種類

開業届の所得の種類(事業所得に丸)に赤枠を付けた図

「不動産所得・山林所得・事業(農業)所得」から選びます。通常の個人事業(飲食業、建設業、Webデザインなど)は、農業でなくても「事業(農業)所得」を選びます。様式上、事業所得と農業所得がまとめて1つの区分になっているためです。アパート経営など不動産の賃貸が主な事業なら「不動産所得」を選びます。

開業・廃業等日

開業届の開業・廃業等日の記入欄に赤枠を付けた図

開業日を記入します。明確なルールはなく、事業の準備を始めた日や、最初の売上が発生した日などが目安です。注意したいのは、その年の1月16日以降に開業した場合、青色申告承認申請書の期限が「開業日から2か月以内」になる点です。開業日がこの期限の起点になるので、青色申告を予定しているなら、いつを開業日にするか意識しておきましょう。

開業・廃業に伴う届出書の提出の有無

開業届の届出書の提出の有無(青色申告は有に丸)に赤枠を付けた図

ここが重要です。青色申告承認申請書を同時に出す場合は「有」にチェックします。消費税の課税事業者選択届出書を出す場合も、ここで「有」を選びます。

ただし注意したいのは、このチェックはあくまで「青色申告承認申請書を一緒に提出します」という合図だという点です。ここに「有」をつけただけでは青色申告は始まりません。青色申告をするには、青色申告承認申請書そのものを別の用紙として提出する必要があります。

事業の概要・給与等の支払の状況

開業届の事業の概要・給与等の支払の状況に赤枠を付けた図

事業の概要は、職業欄より少し具体的に書きます(例:「店舗を構えてのカフェ・喫茶店の経営」「住宅の内装工事」など)。

一人で開業する場合は、事業の概要を書けばOKです。その下の「給与等の支払の状況」や「源泉所得税の納期の特例」の欄は、従業員や家族への給与がない限り、すべて空欄でかまいません。

一方、家族に給与を払う(専従者給与)・従業員を雇う場合は、この欄に区分・人数・給与の定め方などを記入します。あわせて、開業届とは別に「給与支払事務所等の開設届出書」などの提出も必要になります(くわしくは後述の「開業届とセットで出したい書類」を参照)。

提出方法は3つ

方法 特徴
e-Tax 自宅から24時間提出可能。用紙の印刷も不要。送信後にメッセージボックスへ届く「受信通知」が、提出した証拠になる
窓口持参 その場で提出が完了する
郵送 所轄税務署へ正本を送付する
2025年から「受付印」は廃止

⚠️以前は控えに税務署の収受日付印(受付印)を押してもらえましたが、2025年1月から押印は廃止されました。窓口でも郵送でも、受付印付きの控えは原則もらえません。提出日は自分で記録・管理しておきましょう。提出した事実を確実に残したいなら、受信通知が証拠として残るe-Taxが安心です(書面提出の場合、希望すれば日付・税務署名を記載したリーフレットを受け取れることがあります)。

添付書類(本人確認書類)に注意

開業届にはマイナンバーを記載するため、提出方法によっては本人確認書類の添付・提示が必要になります。ここを知らずに郵送すると、書類不備で手続きが滞ることがあります。

e-Taxなら本人確認書類が不要

e-Taxで提出する場合、本人確認書類の提示や写しの添付は不要です。ログイン時にマイナンバーカードで本人確認が完結するためです。窓口に出向く手間も書類のコピーも要らないので、一番ラクな方法といえます。

一方、窓口持参・郵送で提出する場合は、本人確認書類が必要です。お持ちのものによって、次のように変わります。

持っているもの 必要な書類
マイナンバーカード マイナンバーカードの写し(両面)だけでOK
マイナンバーカードがない 番号確認書類(通知カード、マイナンバー記載の住民票など)+身元確認書類(運転免許証、パスポートなど)の両方の写し

郵送の場合は、これらの写しを「本人確認書類(写)添付台紙」に貼って同封します。窓口の場合は原本を提示すればその場で確認してもらえます。

開業届とセットで出したい書類

開業届だけでは青色申告はできません。節税のためには、次の書類も同時に検討しましょう。

  • 所得税の青色申告承認申請書:青色申告(最大65万円控除)を使うための必須書類
  • 青色事業専従者給与に関する届出書:家族へ給与を払って経費にしたい場合
  • 給与支払事務所等の開設届出書:従業員を雇う場合


青色申告承認申請書の書き方はこちら
最大65万円控除のための簿記方式・備付帳簿名の選び方を解説

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📌本記事は2026年(令和8年)時点の情報をもとに作成しています。様式の変更や個別の状況により取扱いが異なる場合がありますので、具体的な判断は税理士にご相談ください。