【令和8年度改正】ふるさと納税の仕組み変更と節税活用法

令和8年度税制改正解説 ふるさと納税

令和8年度税制改正により、ふるさと納税の特例控除に新たな上限が設けられます。影響を受けるのは給与収入1億円相当以上の高所得者です。多くの個人事業主・中小企業経営者には関係のない改正ですが、高所得者の方は寄附額の見直しが必要になる場合があります。

そもそも、なぜ2,000円の負担で済むの?

ふるさと納税をすると、税金が2種類控除されます。

  • 所得税の控除(寄附金控除)
  • 住民税の控除(基本控除 + 特例控除)

「基本控除」だけでは、寄附した金額の全額はカバーできません。そこで登場するのが特例控除です。「所得税と基本控除で引ききれなかった分を、住民税からさらに上乗せして控除する」という仕組みです。

この3つが合わさることで、寄附額から2,000円を引いた金額がほぼまるごと税額から差し引かれる——これが「実質2,000円の負担」の正体です。

そして今回の改正は、この特例控除に上限を設けるというものです。高所得者は住民税の額が大きいため、これまで特例控除も青天井に近い状態でした。それに上限をかけるというのが今回の改正のポイントです。

改正内容:高所得者への上限規制

適用時期と対象

改正は令和10年度分以降の個人住民税から適用されます。つまり、2027年(令和9年)以降の寄附からが対象になります。

重要なポイントは、「全てのふるさと納税利用者が対象」ではなく、給与収入が約1億円相当以上の高額所得者が主な影響対象だということです。多くの読者には関係のない改正と言えるでしょう。

新しい控除限度額の仕組み

改正後は、特例控除額の限度額が以下のいずれか低い方に変更されます。

  • 計算方法①:個人住民税所得割額の20%
  • 計算方法②:定額制(道府県民税 77万2千円 + 市町村民税 115万8千円 = 合計 193万円)
    ※指定都市の場合は道府県民税 38万6千円 + 市町村民税 154万4千円

現行では「住民税所得割額の20%」のみが上限でしたが、改正後はこれに加えて定額の上限も設けられます。高所得者ほど住民税が高くなるため、この定額上限が実質的に効いてきます。

実例で見る改正の影響

以下は、それぞれの収入において改正前の特例控除上限額まで寄附した場合のシミュレーションです。

ケース①:給与収入1億円(寄附額445万2千円)

項目 改正前 改正後
控除合計 445万円 442万円 ▼3万円
自己負担額 2千円 3万2千円

給与収入1億円の場合、改正による影響は約3万円の負担増にとどまります。

ケース②:給与収入1.5億円(寄附額672万2千円)

項目 改正前 改正後
控除合計 672万円 569万円 ▼103万円
自己負担額 2千円 103万2千円

給与収入1.5億円になると、自己負担額が2千円から103万2千円へと大幅に増加します。収入が高くなるほど影響が大きくなります。改正後はどの高所得者も一律193万円が上限となります。

※ 計算の前提
基礎控除のみ考慮した概算です。社会保険料控除等の各種控除は含んでおらず、実際の金額はご本人の控除状況により異なります。

給与収入1億円未満の方への影響

給与収入1億円未満の個人事業主や中小企業の経営者は、この改正の影響を受けません。現在のふるさと納税の仕組みをそのまま活用し続けることができます。

改正に対応した節税活用のポイント

ポイント①:給与収入や事業所得を改めて確認

あなたのふるさと納税による控除が改正の対象になるかどうかは、所得の規模によって決まります。給与収入や事業所得がどの程度かを、税理士に相談して確認しましょう。

ポイント②:改正後の最適な寄附額を再計算する

改正後は特例控除の上限が一律193万円となるため、実質2,000円の負担で収まる寄附額の上限も下がります。これを超えて寄附しても、超えた分は税額から差し引かれないため、改正後は寄附額の見直しが必要です。「これまでと同じ金額」ではなく、改正後のルールに合わせた金額を税理士と確認しましょう。

ポイント③:税理士への早期相談

ふるさと納税は個人の所得状況によって有利度が大きく異なります。改正の影響を正確に把握するには、税理士の専門的なアドバイスが不可欠です。年間の所得見積もりが立ったら、できるだけ早く相談して、最適な寄附金額や時期を決定することをお勧めします。

まとめ:あなたの所得に合わせた活用を

令和8年度改正によるふるさと納税の変更は、高所得者(給与収入1億円相当以上)を対象とした増税改正です。多くの個人事業主や中小企業の経営者にとっては、現在の仕組みをそのまま活用できます。

しかし、あなたが高所得者に該当する場合は、税理士に相談して改正後の最適な寄附額を確認することが大切です。

ふるさと納税は地域への支援と節税が両立する制度です。改正内容を正しく理解して、あなたの所得状況に最適な活用方法を見つけてください。

当事務所でも、ふるさと納税を含めた総合的な節税対策のご相談をお受けしています。ご不明な点やご質問は、いつでもお気軽にお問い合わせください。