① 食事補助の非課税限度額の見直し
従業員が勤務先から食事の提供を受けた場合、一定の要件を満たす範囲で給与所得として課税されません。今回の改正では、物価上昇に対応した形でこの限度額が引き上げられます。
食事補助が非課税となる要件
食事の現物支給が非課税となるには、次の2つの要件をともに満たす必要があります。
- 従業員が食事の価額の50%以上を自己負担していること食事の価額とは、弁当の購入価額や社員食堂の材料費等の直接費をいいます。
- 会社が負担する金額(税抜き)が月額限度額以下であること食事の価額から従業員の負担額を差し引いた残額(会社負担分)が月額の非課税限度額以下であること。この上限額が今回引き上げられます。
改正前後の比較
(税抜き)以下
(税抜き)以下
会社負担分が月額7,500円を超えた場合、超過分だけでなく補助額の全体が給与として課税対象になります。限度額の管理には十分ご注意ください。
なお、食事補助が非課税となるかどうかは「税抜き」の金額で判定します。
深夜勤務者の夜食代
深夜勤務(おおむね午後10時から翌日午前5時の間の勤務)をした従業員に対し、現物での夜食支給ができない場合に支給する夜食代についても、非課税の特例があります。この限度額も今回引き上げられます。
(税抜き)以下
(税抜き)以下
この特例は「夜食を現物で支給することが著しく困難な場合に、金銭で支給する」という要件があります。実際に深夜勤務をしていることの勤務記録管理も必要です。
② マイカー通勤手当の非課税限度額の見直し
マイカー(自動車・バイク等)を使用して通勤する給与所得者に支給される通勤手当については、片道の通勤距離に応じた非課税限度額(月額)が定められています。今回の改正では、①長距離通勤者(片道65㎞以上)の非課税限度額の引き上げと、②駐車場代を非課税限度額に加算できる規定の新設が行われました。
通勤距離65㎞以上の非課税限度額引き上げ
令和7年改正(令和7年4月1日以後適用)で55㎞以上が一律「月額38,700円」に引き上げられました。さらに今回の令和8年改正で65㎞以上の区分が新設・大幅引き上げとなります。
| 片道の通勤距離 | 令和7年改正後(月額) | 令和8年改正後(月額) |
|---|---|---|
| 2㎞以上10㎞未満 | 4,200円 | 4,200円 変更なし |
| 10㎞以上15㎞未満 | 7,300円 | 7,300円 変更なし |
| 15㎞以上25㎞未満 | 13,500円 | 13,500円 変更なし |
| 25㎞以上35㎞未満 | 19,700円 | 19,700円 変更なし |
| 35㎞以上45㎞未満 | 25,900円 | 25,900円 変更なし |
| 45㎞以上55㎞未満 | 32,300円 | 32,300円 変更なし |
| 55㎞以上65㎞未満 | 38,700円 (一律) |
38,700円 変更なし |
| 65㎞以上75㎞未満 | 45,700円 新設 | |
| 75㎞以上85㎞未満 | 52,700円 新設 | |
| 85㎞以上95㎞未満 | 59,600円 新設 | |
| 95㎞以上 | 66,400円 新設 |
駐車場代の加算(新設)
今回の改正で新たに、マイカー等で通勤する人が一定の要件を満たす駐車場等を利用している場合、距離区分ごとの非課税限度額に1か月当たりの駐車場等の料金相当額(上限5,000円)を加算した金額が非課税限度額となります。
「一定の要件を満たす駐車場等」とは、通勤のために使用するマイカー等の駐車のための駐車場等のうち、次のいずれかの周辺にあるものをいいます。
- その通勤手当の支払を受ける人の勤務する場所の周辺にあるもの
- その人が通勤のために利用する交通機関の駅・停留所その他の施設の周辺にあるもの
駐車場代の加算の上限は月額5,000円です。実際の駐車場代がこれを超える場合でも、加算できるのは5,000円が限度となります。また、通勤距離が片道2㎞未満の人はこの加算の対象外です。
まとめ:令和8年4月1日から対応が必要
今回の改正内容と適用時期を整理すると、次のとおりです。
| 改正項目 | 改正内容 | 適用時期 |
|---|---|---|
| 食事補助の非課税限度額 | 月額 3,500円 → 7,500円(税抜き) | 令和8年4月1日以後に支給する食事から適用 |
| 深夜勤務者の夜食代 | 1食 300円 → 650円(税抜き) | 令和8年4月1日以後に支給する夜食代から適用 |
| マイカー通勤手当(65㎞以上の区分新設) | 65㎞以上に4区分を新設(最高66,400円) | 令和8年4月1日以後に支給する通勤手当から適用 |
| 駐車場代の加算(新設) | 距離区分の限度額に月額5,000円を上限として加算可能 | 令和8年4月1日以後に支給する通勤手当から適用 |
今すぐやっておきたいこと
- 給与規程の見直し:食事補助・通勤手当の支給規程を令和8年4月施行に向けて改定する
- 食事補助の実態確認:従業員の自己負担割合(50%以上)と会社負担額の管理体制を整備する
- 深夜勤務管理:夜食代支給実績を勤務記録と紐付けて管理できるようにする
- 通勤距離の再確認:マイカー通勤者の通勤距離を改めて確認し、65㎞以上の従業員を抽出する
- 駐車場等の要件確認:加算の対象となる駐車場等(勤務先周辺・駅周辺等)かどうかを確認する
- 給与システムの更新:令和8年4月1日以後支給分から非課税額の設定を変更する
当事務所でも、通勤手当・食事補助に関する給与規程の見直しや非課税判定のご相談をお受けしています。ご不明な点やご質問は、いつでもお気軽にお問い合わせください。

