令和8年度税制改正
本記事では、令和8年度税制改正の主要項目を全体像で整理し、個人事業主・中小企業経営者がおさえておくべきポイントをわかりやすく解説します。各論については、当事務所の解説記事を順次リンクしていますので、気になる項目を深堀りしてご覧ください。
令和8年度税制改正の全体像
令和8年度税制改正大綱は、「物価高への対応」と「強い経済の実現」を基本方針として、個人から法人まで幅広い改正を盛り込んでいます。
主要な改正項目を、対象者ごとに整理すると次のとおりです。
| 分類 | 主な改正項目 | 適用時期 |
|---|---|---|
| 個人 | 年収の壁178万円/NISA改正/ふるさと納税見直し/住宅ローン控除 | 令和8年〜 |
| 給与・福利厚生 | 食事支給・マイカー通勤手当の非課税限度額拡充 | 令和8年〜 |
| 個人事業主・中小企業 | 青色申告75万円控除/賃上げ促進税制 | 令和8年〜 令和9年〜 |
| 消費税 | インボイス7・5・3割控除(経過措置見直し)/3割特例の新設 | 令和8年10月〜 |
それぞれの改正について、以下で順に見ていきましょう。
個人向け改正のポイント
①年収の壁が178万円に引き上げ
基礎控除と給与所得控除の最低保証額が見直され、いわゆる「年収の壁」が大きく引き上げられます。これにより、パート・アルバイト・学生バイトの所得税の課税ラインが変動します。配偶者を扶養に入れている世帯にも影響が大きい改正です。
詳しい解説【令和8年度改正】年収の壁が178万円に!令和8年度税制改正をわかりやすく解説
基礎控除・給与所得控除の改正内容、配偶者・学生アルバイトへの影響を詳しく解説しています。
②NISA改正・こどもNISAの新設
NISA制度が拡充され、特に注目されるのが「こどもNISA」の新設です。子の名義で非課税投資ができる仕組みで、教育資金や将来の資産形成に活用できます。既存NISAの取扱いも一部見直されます。
詳しい解説【令和8年度改正】NISAはどう変わった?こどもNISA新設ほかポイントをわかりやすく解説
こどもNISAの仕組み・年齢要件、既存NISAからの変更点を整理しています。
③ふるさと納税の仕組み変更
ふるさと納税は、ポイント付与の規制等、運用面での見直しが行われます。寄附者・寄附先自治体の双方への影響があるため、制度内容の確認が必要です。
詳しい解説【令和8年度改正】ふるさと納税の仕組み変更と節税活用法
改正後のふるさと納税の仕組み・控除上限の計算・節税活用法を解説しています。
④住宅ローン控除の継続・上乗せ措置
住宅ローン控除の借入限度額上乗せ措置(子育て世帯等向け)は、令和8年度も継続されます。共働き世帯がペアローン・連帯債務を活用する場合は、夫婦それぞれが上乗せ措置の対象となり、控除効果を大きく高められます。
詳しい解説【令和8年度改正】住宅ローン控除はどう変わった?ポイントをわかりやすく解説
住宅ローン控除の借入限度額・控除期間・上乗せ措置の制度内容を整理しています。
給与・福利厚生関連の改正
食事支給・マイカー通勤手当の非課税限度額拡充
従業員に支給する食事補助や、マイカー通勤者の通勤手当について、非課税限度額が拡充されます。給与計算実務・人件費設計・福利厚生制度の見直しに直接影響する改正です。
詳しい解説【令和8年度改正】食事支給・マイカー通勤手当の非課税限度額の拡充をわかりやすく解説
改正前後の比較・実務上の注意点・給与計算への影響を整理しています。
個人事業主・中小企業向け改正
①青色申告特別控除が最大75万円に
青色申告特別控除の最高額が、現行の65万円から75万円に引き上げられます。ただし、75万円控除を受けるには「複式簿記+電子申告+優良な電子帳簿保存等」の3要件を満たす必要があり、紙申告の方は控除額が55万円から10万円へ大幅ダウンする等、要件面でのハードルも上がります。
詳しい解説【令和8年度改正】青色申告の控除額が最大75万円に!改正ポイントをわかりやすく解説
75万円控除の3要件、優良な電子帳簿の要件、紙申告者への影響を解説しています。
②賃上げ促進税制の見直し
中小企業・個人事業主向けの賃上げ促進税制について、制度の仕組み・税額控除率・教育訓練費の上乗せ要件・繰越控除等のポイントが整理されました。賃上げを実施する事業者にとって、活用しやすくなる方向での改正です。
詳しい解説【令和8年度改正】賃上げ促進税制とは?中小企業・個人事業主向けに制度の仕組み・改正点・計算例を解説
税額控除率、上乗せ要件、繰越控除等、計算例つきで解説しています。
消費税(インボイス)関連の改正
8割控除が「7・5・3割控除」へ/3割特例の新設
インボイス制度の経過措置である「免税事業者からの課税仕入れに係る8割控除」が、段階的に縮小されます。具体的には7割→5割→3割と段階的に減少していく仕組みに変更され、最終的には控除が認められなくなります。
また、免税事業者から課税事業者になった個人事業主向けに、納税額を売上税額の3割に抑えられる「3割特例」が新設される予定です。これは現行の2割特例(令和8年9月末で終了)の後継措置として位置づけられます。
詳しい解説【令和8年度改正】8割控除が「7・5・3割控除」へ|免税事業者からの課税仕入れの経過措置の見直し
経過措置の段階的縮小スケジュール、3割特例との関係を計算例つきで解説しています。
適用時期スケジュール
主要な改正項目の適用時期をまとめます。準備期間を逆算して、対応を進めましょう。
| 適用時期 | 主な改正項目 |
|---|---|
| 令和8年分以後 | 年収の壁178万円(基礎控除・給与所得控除)/食事支給・マイカー通勤手当の非課税限度額拡充/NISA改正 |
| 令和8年10月〜 | インボイス7・5・3割控除(経過措置の段階的縮小)/3割特例の新設 |
| 令和9年分以後 | 青色申告特別控除75万円(令和10年提出分から) |
まとめ|今からやっておきたいこと
- 個人事業主の方:青色申告75万円控除に備え、電子申告(e-Tax)・優良な電子帳簿への移行準備を進める
- 給与計算担当者:食事支給・通勤手当の非課税限度額拡充を反映した給与計算ルールに更新する
- 免税事業者からの仕入れがある事業者:インボイス経過措置の縮小スケジュールを踏まえ、仕入先との取引条件・価格交渉を見直す
- 共働き世帯でマイホーム検討中の方:住宅ローン控除の上乗せ措置を最大限活用できる借入方法(ペアローン・連帯債務)を比較検討する
- パート・配偶者を扶養に入れている方:年収の壁178万円改正を踏まえ、勤務時間・収入計画を見直す
本記事は令和7年12月19日に公表された令和8年度税制改正大綱に基づいて作成しています。今後の国会審議の過程で内容が変更される可能性がありますので、最新情報は国税庁ホームページ等をご確認ください。個別の適用については税理士にご相談ください。
